Column
家づくりコラム
女性建築士のティータイムコラム|見せる収納”じゃなく、“見せない収納”
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女性建築家のティータイムコラム
子育て中の家は、毎日が小さな変化と発見の連続です。
けれど、その中には色や形や音……あらゆる“情報”があふれています。
子どものお気に入りの絵本、カラフルなブロックやぬいぐるみ、洗濯物の山、学校から届く色とりどりのプリント……。
それらは確かに、大切な思い出や成長の証です。
でも、ふとした瞬間、「どうしてこんなに落ち着かないんだろう」と感じたことはありませんか?
その理由の一つは、視界に入るモノが、私たちの心に小さな負荷をかけ続けているから。
モノが見えていると、脳は無意識に「片づけなきゃ」「整理しなきゃ」と反応してしまうのです。

だからこそ私は、“見せる収納”ではなく“見せない収納”を提案します。
例えば、扉のついた収納棚や、サッと掛けられる布カーテン。
あるいは、家具を工夫して視線の抜ける方向に「空白」をつくること。

これらは単なる片づけのための工夫ではなく、視界のノイズを減らして、自分の心を休ませるための仕掛けです。
忙しい毎日の中で、ほんの少しでも「何もない景色」を見られる時間があると、心の中に静かな余白が生まれます。
そして、その余白こそが、“私らしさ”を取り戻す最初の一歩になるのです。