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家づくりコラム
女性建築士のティータイムコラム|キッチンから半歩だけ離れた“わたしの席”
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女性建築家のティータイムコラム
子育てと家事を両立している女性は、「腰を下ろす時間」が驚くほど短いもの。
朝起きて、お子さまの身支度や食事の準備、洗濯や掃除といった家事をしながら、お子さまと一緒に遊んだりしていると、一日中立ちっぱなしということも多々あります。

そんな日々を送る女性に、私は“キッチンから半歩だけ離れた自分の席”をご提案します。
キッチンのすぐそば、でも作業台からはほんの少し距離を置いた場所。
そこは「あなたがひといきつける、自分だけの居場所」です。
朝食の片づけを終えた後、椅子に腰かけてお気に入りのマグでコーヒーを飲む。
小さな花瓶には、庭やスーパーで見つけた季節の花を飾る。
ちょっとした「私だけの時間」を生み出すスペースを作るのです。

ポイントは、くつろぎすぎないこと。
ソファのように深く沈み込む椅子ではなく、「すぐに立てる」距離感で。
それが、家事の途中でもほっとひと息つける場所に最適です。
窓から入る光や、外を通る風に気づけるこの席は、日々の慌ただしさの中で、心の温度をふっと下げてくれるスイッチのような存在。
間取りや収納に目を向ける前に、こうした「半歩の余白」を暮らしに忍ばせることは、
毎日の幸福感を ひっそりと底上げしてくれます。