Column
家づくりコラム
女性建築士のティータイムコラム|作り込みすぎない住まいを
新入学の春、お子さまの新しい生活が始まり、ご家庭では学習環境について考える機会が増える時期ですね。最近は、昔のように勉強机を購入するご家庭が減り、代わりに「どこで勉強するか」を重視される傾向がみられます。と同時にリビング学習が一般的になり、お子さまの学用品の収納場所や、ランドセルの置き場についてのご相談も増えています。

お子さまの学校生活に合わせた空間づくりを求められることが多いものの、「あまり作り込みすぎない方が良いのではないか」と私は思うのです。なぜならお子さまは成長し、ご家族のライフスタイルも変化するからです。
小学生の時に必要だった物が、中学生、高校生になると不要になることもありますし、ご両親もまた、お仕事への復帰や新たな趣味など、ライフステージは変わっていきます。

SNSなどの影響もあり、今はおしゃれで機能的な「作り込まれた住まい」が人気です。ただ、お子さまがいずれ独立されることを考えると、固定的な空間よりも「変化に対応できる余裕のある空間づくり」を意識した方が、長い目で見ると暮らしやすいかもしれません。
例えば、学用品の収納を兼ねた可動式の棚を採用すると、成長とともにフレキシブルに使える空間が生まれます。また、ランドセル置き場も6年間だけであることを考えれば、お子さまの生活動線の中に「一時置きスペース」を確保するだけで十分かもしれません。
住まいは、ご家族のライフスタイルの変化に寄り添いながら成長していくものです。「今」の暮らしやすさはもちろん、「未来」の柔軟性も考えながら、心地よい空間づくりをしませんか。